諸氏谷口ジロー氏評

関川夏央氏) 僕らはあるイメージのもとに台本書くわけで・・・・・・・・・。(彼の描くものは、僕のイメージとは違い)ああ、こういうアングルがあった、こういう目の高さがあるのか、とびっくりするわけです。時どき裏から見たりする。あれはテクニックじゃないですよ、演出力の問題、演出力の天才なんですよ、やっぱり。(81 FUSION PRODUCT)



狩撫麻礼氏) ・・・・・今一番力のある谷口さんと組めたという喜びと興奮があってね。チキショウ、こんなスゴイ原作を書きやがって、というふうに谷口さんを怒らせたいと思いました。(82 Comic Box)



メビウス氏) (できあがった「イカル」の原稿を見て)おそらく相当な労力で作画されていると思います。 手間をかける分、仕事のペースは落ちますが結果は大変素晴らしい。(97 モーニング)



フレデリック・ボワレ氏)  私が本当に谷口さんの作品を素晴らしいと思ったのは、やっぱり「『坊ちゃん』の時代」とか、「歩くひと」。・・・・・・・・・映画でいえば、小津安二郎の映画はフランス人にも通じる。(時代背景や、文化的な部分の)バックグラウンドが、全部わからなくても(フランス人には)あまり心配ない。・・・・・・・・・・・・・たとえば「犬を飼う」とか「父の暦」は、私は本当に涙がでるぐらい感動しました。・・・・・(99 季刊コミッカーズ)



松谷創一郎 氏) ’80年代、すでに「原作」と「作画」という分業システムは確立していた・・・・・・だが、そのなかから誰もが原作を提供したくて止まないマンガ家が現れる。それが谷口ジローだった。(01 サブカルチャー世界遺産)



夏目房之介氏) 私はやや高所恐怖症の気味がある。ロッククライミングの写真でもゾッとすることがある。しかし、劇画でこわくなったのは、この「K」が初めてだ。(91 消えた魔球)



夢枕獏氏) 谷口さんは、プロボクサー・アマレスラー・プロレスラーの肉体の違いを、はっきり描き分けられる稀有な作家である。(90 餓狼伝)



編集者 I氏) (掲載雑誌・編集後記) 増ページ体制で『餓狼伝』連載開始しました。「勝負の結末が原作と逆になっても構わない。思い通りに描いてください」と夢枕獏氏の熱烈なコールを受けての谷口ジロー氏の筆の冴え、いかがでしたでしょうか。(89 獅子王)



いしかわじゅん氏) 谷口ジローってね、マンガ家に尊敬される、マンガ家なんだよ。(05 BSマンガ夜話)



若林太郎氏) あれ(「餓狼伝」)はレベル高いでしょう。・・・・・谷口ジローは基本的には画力あるから「青の戦士」にしてもよかったもんね。(96 格闘技マンガ最強伝説)



竹内オサム氏) 過去は逃れ去るものではなく、いまにひっそりと同居している。谷口の(「父の暦」での)リアルでソフトな絵柄は、そうした思いをうまく演出している。(98 漫画・まんが・マンガ)



岡崎英生氏) だから当時(ヤングコミック’70年代)から、そういう手応えっていう意味でいうと、谷口さんみたいな劇画家になりたいという志望者とか・・・・・・。そういう人達からの反応っていうのは、わりと感じてましたよね。(02 まんだらけZENBU)



江口寿史氏)・・・・尊敬する先輩・・・・(01 from Web)



寺田克也氏) ・・・・・(絵が)変わり続けていく人に憧れを感じますよね。谷口(ジロー)さんなんかも今でも絵を変えてますしね。メチャメチャ尊敬してますよ。(99 コミッカーズ夏号)



福山庸治氏) ・・・・・大御所 谷口ジローさん。(04 from Web)



板垣恵介氏) 谷口ジロー版の「餓狼伝」が出ちゃって。あー、先をこされちゃったな、と。(00 餓狼伝格闘士真剣伝説)



影浦三郎氏) 老人と呼ばれる齢になった深町(「事件屋稼業」の深町丈太郎)の目を、谷口ジローがどう描くか。いつか見せてほしいと願っている。(99 ザ・マンガ家列伝)



飯田耕一郎氏) 執念から執念らしさをとった「執念」というものが谷口氏にはある。(81 FUSION PRODUCT)



長谷邦夫氏) ・・・・細密な描写による見事な画面・・・・(94 ニッポン漫画家名鑑)



小野耕世氏) 私の好きな谷口ジローの作品のひとつに「歩く人」がある。ことばはなく、ただ静かな風景のなかを散歩する人を描く8ページの短編連作を、メビウスは絶賛したものだ。だが、それとは別のイメージの世界がここ(「イカル」)には展開される。・・・・・・・・・・・・・・・・・・それは日本の物語マンガの得てきた画面空間のあつかいかたの進歩を示すことになる。(00 イカル)



高橋源一郎氏) 彼のマンガでなければ関川の批評(「坊ちゃんの時代」)が実体化することはなかったのだ。・・・・・・・・・・絵が原作を引っ張りこんでいることに我々は注目せねばならない。(89 秋の舞姫))



村上知彦氏) (「秋の舞姫」は)近代日本の苦悩に重なる鴎外の苦悩に焦点を合わせたぶん、前作に比して物語の波乱より求心性に重きを置くつくりになっている。激情を抑えた谷口ジローの絵は、よくそれに応えている。(92 かの蒼空に)



牧岡譲氏) 「異化」というプレヒトの言葉のついでにいえば、この作品(「『坊っちゃん』の時代」)は、きわめて演劇的である。・・・・・作画担当の谷口ジロー自身が「芝居の演出法をイメージした」といっている。・・・・・。いってみればマンガというジャンルは小説よりも、はるかに演劇や映画に近いのである・・・・・。(99 〈転向〉の明暗)



寺田克也氏 U) マンガは次の2種類の分類しまくる事ができますなー。「セリフを読みすっ飛ばすスピードで飛ばすマンガ」と「ひとコマずつ舐めるようなスピードで舐めるマンガ」。これ(『坊っちゃん』の時代)は後者。谷口ジロー師匠の端正かつ丹念かつ情熱的な線が、淡々としつつかつ熱い関川夏央の原作とからみあって生まれた「読む興奮を得られるマンガ」の高い山のひとつ。もーね、コマの隙間に漱石の時代、明治の空気がみっちり詰まって、あー!こぼれるこぼれる!こぼれたー舐めて舐めて!今すぐ舐めて!ほらほらそこに明治の空気がこぼれてる〜〜〜〜〜〜〜〜。(04 relax)



矢野達雄氏)・・・・黒一色で描かれた絵がこれほど多様な世界を描写できるのか、・・・・たとえば、猫を抱いた漱石に桜吹雪が舞いかかる(『坊っちゃんの』時代)第一部最後のシーンなど、芸術の域に達していると言って過言でない。(04 マンガから入る法学入門)



加藤典洋氏) 「明治流星雨」。谷口ジロー描く最終章扉の美しい流星雨の下の明治東京の夜の町並みにうながされ、この巻を読んだ後、わたしも夜の空を見上げた。(02 『坊っちゃん』の時代・第四部)



東谷暁氏) (漱石関連名著のひとつとして)・・・・・「『坊っちゃん』の時代」は、膨大な資料と大らかな想像力で描かれた漫画による「夏目漱石と明治日本」だ。・・・・・・ここにも「発見されたもう1人の漱石がいる。(04 文藝春秋 特別版 「夏目漱石と明治日本」)



フレデリック・F・ショット氏) ・・・・日本文化は「間」の文化だと言われる。 (「『坊っちゃん』の時代」は)・・・・谷口氏の感性だろうが、ストーリーを展開させるために・・・・個々の「瞬間」を凍結させ、その瞬間の連続でストーリーを進めているところがある。・・・・(それに加えて)・・・・言葉と絵を巧に融合させて、新しい、「プラス・アルファ」を実現させている。・・・・『「坊っちゃん」の時代』のように、小説や絵を新しい形で、融合させている作品は、「漫画」、「まんが」、「マンガ」、「劇画」、「絵物語漫画」、コミックでもない。あえていうならば、「絵で描かれた小説」、つまり「グラフィック・ノベル」----ではないだろうか。(02 『坊っちゃん』の時代・第三部)



ティムリーマン氏) 谷口はマンガを大人のために創作する。・・・・・一言で言えば「文学」である。・・・・・真の「グラフィック・ノベル-=図画小説」と呼ぶに相応しい。(05 マンガマスター)



吉川潮氏) 実を言うと、私は劇画に対してあまりいいイメージを抱いていなかった。・・・・・・・・・・・ところが、(「欅の木」の)谷口ジローさんの絵を見て驚いた。なんときれいなタッチであろうか。また、登場人物の顔が皆、昔の日本人の顔なのがいい。・・・・・・・・・・こんな素敵な絵を描いてくれるなら、私の作品も劇画にして欲しいと思った。食わず嫌いで劇画を疎んじていた己の不明を恥じるばかりである。(99 欅の木)



馳星周氏) わたしは物書きとして、谷口ジローに嫉妬する。わたしがどれだけの言葉を費やしても表現できないものを、彼は見事に表現している。(「神の犬」において)彼の描く犬たちの筋肉の躍動が、すべてを物語っている。わたしは打ちのめされて本書を閉じた。(00 神の犬)



某編集者氏) 今だからこそ、そういう漫画(「犬を飼う」)もあるべきだと思うよ。(92 犬を飼う)



福田義也氏) この作品(「犬を飼う」)で日本のマンガ文化は、その芸術的表現の極北に達したとおもっている。これは生と死、愛と悲しみを描いて、心を深く撲つ作品である。(92 犬を飼う)



夜久弘氏) ・・・・(「森へ」において)リアルな幻想を追ったのが谷口ジロー氏だ。劇画の原点は絵物語だといわれする。一枚絵をコマに割ってドラマを展開したのが、劇画なら、その逆をたどってみようというのが谷口氏の狙いであった。コマを省略し、省略したコマを一点に集約していく、その結果はごらんの通り(「森へ」という作品)である。過去のものと思われた絵物語が、かくも斬新な輝きに満ちていようとは・・・・・・・・・。(84 KOMICばく)



佐藤敏章氏) 今度の作品(「父の暦」)はコミックイコール娯楽というワクから少しはみださなければ語れないテーマだと思う。(94 父の暦)



内海隆一郎氏) あたかも私小説のようにさえ見える精密で的確な描写は、細部への愛情があってこそのもので、これは傑作の条件とも言える。けっして時流に寄りかかることなく、つねに人間の過去と現在へ真摯な眼差しを注いでいる谷口さんでなければ、ここまで描ききることはできなかったにちがいない。(01 父の暦)



加納則章氏) ・・・・・80年代半ばから静謐としか言いようのない画風に変貌。・・・・・それは人物の目によく出ている。海千山千の男のどこか哀しい目、カリスマ性を持つ男の危険で魅力的な目、愛犬の老いを見る家族の寂しげな目など、どの目も作品世界にふさわしいムードがある。読後に「読んでよかった」と思わせてくれる作家。(97 日本一のマンガを探せ!)



毛利甚八氏) (「NYの弁慶」は)谷口ジローさんいう素晴らしい漫画家の力量によって、作品に仕上げてもらった、というのが正直な感想だ。(96 NYの弁慶)



古山寛氏) 谷口ジローさんとあってから、すでに十何年かがたっている。今回初めて組むことができた。・・・・・・劇画のシナリオ・ライターなどというものは、腕の立つ絵描きに組ませてもらってこその商売なのである。(92.風の抄)



枡野浩一氏) (「遥かな街へ」は、)作者の過去の作品はこれを描くための練習だったんだ、と思うほどの会心作。(00 漫画嫌い)



十河進氏) (「遙かな町へ」は)「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を連想させる。しかし、その切なさはハリウッド映画では絶対に出せないだろう。(02 from Web)



中条省平氏) 細い線のみで描かれるマンガのイメージ空間は、・・・・・・はかない過去の抽象性を表現するのにうってつけのメディアなのだ。ノスタルジアがガラス細工のように美しくかたちをとったマンガたち。・・・・・・・谷口ジロー「遥かな町へ」。・・・・・・結晶の陳列室だ。(99 Jコミック作家ファイル)



久住昌之氏) でも谷口さんと(「孤独のグルメ」を)やったのは勉強になったね、すごく。いやー上手いなぁ、描いてるなぁ、マンガ家だなぁって・・・・・今まで俺、マンガ家とやってなかったことに気が付いた(爆笑)。(98 COMIC CUE)



呉智英氏) なぜ、登山マンガは(「神々の山嶺」の)他にないのか。・・・・・それはひとえに山を描写できるだけの画力のあるマンガ家がいないからである。・・・・・・それができるのは、マンガ界で谷口ジローだけであろう。(02 マンガ狂につける薬 21)



しばたたかひろ氏) (「神々の山嶺」は)山岳(漫画)の金字塔的作品。・・・・・・精緻極まる筆致で描かれた冬山登山の極限状態はまさに圧巻。(04 編集会議)



西尾肇氏) 「おれがここにいるからだ!」・・・・・この、とてつもない自意識こそ、本作品(「神々の山嶺」)の真骨頂である。そして、神がかり的な技巧を駆使してジローさんが描く圧倒的な山々の映像は、比類のない迫力で男たちの孤高をリアルに支えているのである。(03 ベル・SB通信)



氏) そして、ついに、ヨーロッパが谷口ジローを発見した!。(04 ビッグコミック 1 ワン)



ドラス氏) (「アングレーム国際マンガフェスティバル 2003」で、受賞した賞は)2つの賞なんです。1つはフランス漫画専門店協会が毎年選ぶベスト作品賞、これは1年間、書店たちが推薦本として売り出してくれる影響力の強い賞です。もうひとつの賞はアングレーム・フェスティバルのベスト・シナリオ賞。このオフィシャルな賞をもらった日本の漫画は初めてです。日本漫画と言えば、商業的なものだという偏見が強いのですが、今回はちゃんとシナリオが評価され、フランスの読者やマスコミの見方がかわりました。賞の受賞式では、2回ともスタンディング・オベーションで本当に大喝采でした。(04 季刊エス)



アラン・イラン氏) フランス最大のマンガ関係の行事「アングレーム国際マンガ祭」(2003)・・・・・の正式な賞「アルフィール賞」のシナリオ部門を(谷口氏が)受賞した。・・・・・今回の賞(の受賞は)、氏の作品が「商業主義』とは一線を画す「フランス流作家主義」の条件を満たしていることを意味する。(03 from Web)



ブノワ・ペータース氏) 『遥かな町へ』は本当にクラシックになると思う。『遥かな町へ』のサクセスの理由は文化的に分からないところが一つもないということです。日本が舞台になっているのは、そんなに大きな問題ではありません、根本は「人間」の話だから、普遍的なものです。・・・・・・・・シナリオには二つのタイプがあります。一つは、「人間」を描くもの、もう一つはスリルやサスペンスで、読者がびっくりすることを意図して作るもの。・・・・・(『遥かな町へ』は、両方)描かれています。そういう風に2つのことができるのは、難しいものです。・・・・・・・・・・・・・・『遥かな町へ』について、面白いと思った点は3つあったんです。日常性、現代性、ファンタジー。3つの材料があったから、この三角の中に、日本でもフランスでも通用するものがあったんですね。そこが重要だと思うんです。(04 季刊エス)



ゴンドマル氏) (「アングレーム国際BDフェスティバル」の)審査員として、読まなければいけない作品はたくさんあって、本当に疲れました。でも、『遥かな町へ』を読み始めたら、私は手を止めることが出来ませんでした。最後まで一気に、夜更けまで読みました。その後、眠れなくて、そのまま夜を明かしたほどです。(04 季刊エス)



エリアス・トラ氏) 「私は、日本の忙しい日常生活において私たちが取り逃がしてしまった、あるいは私たちが忘れてしまった何かもっと価値のあるものがあるのではないか、と自問しました。」谷口は、この忘れられたものを捜し求めている。(03 from Web)



秋田孝宏氏) この受賞(アングレーム・受賞)は、日本のマンガ文化の質と懐の深さを証明するもので、もっと誇りに感じてよいのだが、日本ではほとんどニュースにならなかったのが残念でならない。(04 現代用語の基礎知識)









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